Life is like a garden

Perfect moments can be had, but not preserved, except in memory.

はじめての海外文学スペシャル 2020

年末恒例の「はじめての海外文学スペシャル」が今年も開催されました。
昨年はあいにく台風の影響で中止になったものの、第1回第2回第3回
と、初めて開催された4年前から参加している思い出深いイベントです。

翻訳者の皆さんが3分間という制限時間に海外文学の魅力をぎゅっと
つめこんでお薦めの一冊を紹介される、年に一度の海外文学のお祭り
のようなイベントで、越前敏弥先生のスムーズな進行も素晴らしく、
団長こと「でんすけのかいぬし」こと谷澤茜さんの解説も冴えていて、
今年も2時間半があっという間に過ぎていく楽しいひとときでした。

今年はコロナ禍ということもあり、初のオンラインでの開催でしたが、
参加者同士のやりとりなど会場ではあまり見ることのできない光景も
目にすることができ、例年とは違った楽しみ方ができて良かったです。
また、海外や地方から参加されたり、視聴している方のコメントが
リアルタイムで読めて一体感が高まるなど、オンラインならではの
新しいイベントの在り方を体感できたのも貴重な体験となりました。

今年紹介された本は以下の通り(敬称略)

『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーエンズ/友廣純訳 越前敏弥
『白い病』カレル・チャペック阿部賢一訳 阿部賢一
『図書館にいたユニコーン』マイケル・モーパーゴ/おびかゆうこ訳 おびかゆうこ
『白の闇』ジョゼ・サラマーゴ雨沢泰訳 木下眞穂
『年月日』閻連科/谷川毅訳 小竹由美子
『秘めた情事が終わるとき』コリーン・フーヴァー/相山夏奏訳 小林さゆり
『ベルリン1919』クラウス・コルドン/酒寄進一訳 三辺律子
『燃えるスカートの少女』エイミー・ベンダー管啓次郎訳 田内志文
『木はえらい』 イギリス子ども詩集/谷川俊太郎川崎洋編訳 田中亜希子
『カシタンカ』アントン・P・チェーホフ 児島宏子訳&
『アンジュール』ガブリエル・バンサン&『サーカスの犬』リュドヴィック・ルーボディ/永田千奈訳 永田千奈
『余生と厭世』アネ・カトリーネ・ボーマン/木村由利子訳 夏目大
『キャパとゲルダ ふたりの戦場カメラマン』マーク・アロンソン&マリナ・ブドーズ/原田勝訳 原田勝
ムーミン谷の仲間たち(ムーミン全集新版6)』トーベ・ヤンソン山室静訳(畑中麻紀 翻訳編集) 古市真由美
『蜜蜂』マヤ・ルンデ/池田真紀子訳 ヘレンハルメ美穂
西遊記呉承恩/伊藤貴麿編訳 増田まもる
『まっぷたつの子爵〔新訳〕』イタロ・カルヴィーノ村松真理子訳& 
『オオカミと石のスープ 』アナイス ヴォージュラード/平岡敦訳 村松真理子
『風の影』カルロス・ルイス・サフォン/木村裕美訳 柳原孝敦
『キャラメル色のわたし』シャロン・M・ドレイパー&『ジュリアンはマーメイド』ジェシカ・ラブ/横山和江訳 横山和江
『あの本は読まれているか』ラーラ・プレスコット/吉澤康子訳 吉澤康子

どれも面白そうで興味をひかれましたが、とくに『白い病』、『白の闇』、
『蜜蜂』、『あの本は読まれているか』が気になりました。コロナ禍で、
カミュの『ペスト』やポーの「赤死病の仮面」等が改めて注目されている
世相を反映したような、今年らしいラインナップのような気がしました。
「はじめての海外文学スペシャル2020」の配信URLはこちら
ご興味のある方はぜひ^^