Life is like a garden

Perfect moments can be had, but not preserved, except in memory.

『海をあげる』

『海をあげる』を読み終えた。

言葉にできない思いが、心のなかで溢れている。
著者が綴らなければ表に出ることのなかった思いが、
容赦ない現実が、これでもかというくらい伝わってきて、
ことの重大さと、自らの無力さに打ちのめされる。

娘と、自分と、母と、祖母と。
4世代の女性を通して、著者の人生が透けてみえる。
目を背けたくなる現実に、目を背けず、
沖縄の現実を、本当の沖縄を著者は綴る。

読んでいる間ずっとしんどくて、この思いを
どうすればいいのか、どう受けとめればいいのか、
いや受けとめきれない、辛い、辛すぎると思いながら読み進めたが、
「あとがき」で、タイトルの由来となった児童文学『うみをあげるよ』
が紹介されていて、読んだらその無垢さにぼろぼろ涙が出てきて、
そうしたら少しだけ救われたような気がして、読めて良かった、
こんなふうに心が揺さぶられたことを忘れずにいたいと思った。

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