2021-12-16 『地上で僕らはつかの間きらめく』を読んで 本のこと/本の感想など オーシャン・ヴォンの『地上で僕らはつかの間きらめく』を読み終える。無慈悲で救いようのない現実が容赦なく綴られるが、言葉の一つひとつが美しく、内容とは裏腹に、読んでいるあいだは静寂と安らぎに包まれる。ふと、村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』の冒頭の一節を思い出す。文章を綴ることの可能性を知った者の喜び。言葉から広がっていく世界。読み終えた後、象が平原に還っていく姿が垣間みえる。微かなきらめき。