小学生のとき、趣味は文通だった。
当時は雑誌の片隅などに文通コーナーがあり、
だれでも気軽に文通相手を探すことができた。
10人以上のペンパルを持ち、1日に数通届くこともざらで、
毎日ひたすら手紙を書いていた。田舎の、特にこれといった
変化もない日常に何をそんなに書くことがあったのだろう。
内容はもう覚えていないが、とにかく書くことが楽しくて、
毎日夢中になって机に向かって便箋に鉛筆を走らせていた。
それほど好きだった文通も、年を重ねるごとに1人また1人
と自然に減っていき、気づいたらたった1人になっていた。
彼女と文通を始めたのは小学4年生のときで、以来ずっと
手紙のやりとりが続いていたが互いに次第に忙しくなり、
気づけば年賀状のみのやりとりになり、今に至っている。
その彼女に彼ができたのは高校生の頃。初めて会ったとき
その子は金髪だったそう。てっきり、いつも金髪なのかと
思ったら次会ったときは黒髪で金髪は夏休みだけだと知る。
その後も文通を続けていたがもちろん毎回彼氏の話ばかり書く
わけではなく、むしろ彼の話題に触れることが少なかったので、
(私が付き合っていなかったので遠慮していたのかもしれない)
結婚が決まったと聞いて(読んで)こころから喜んだときに、
相手が高校時代から付き合っていた彼だと聞いてとても驚いた。
ああ、あの金髪の、と久しぶりに出会いの場面を思い出した。
金髪にしたのはそのとき限りかもしれない。それでも私の中に
2人の出会いのエピソードは10年経ってもちゃんと残っていた。