昨日は、文芸翻訳ブッククラブさん主催の読書会に参加した。
第26回目の課題図書はジュリア・フィリップスの『消失の惑星』
Zoomでの読書会に参加するのは、今年に入ってこれで3回目で
『存在しない女たち』、『華氏451度』、『消失の惑星』と、
ジャンルやテーマは違えど、どれも誰かと語りたくなる1冊だ。
昨日の読書会では、翻訳された井上里さんも参加されて、
翻訳にまつわる貴重なお話を伺うことができて良かった。
途中から2のグループに分かれて、本書の魅力について
たっぷりと語りあった。素晴らしい相関図を作られた方も
いて、改めて登場人物の多さや関係の複雑さに感じ入った。
とはいえ、そうした大勢の登場人物にも関わらず、
読んでいて散漫になることはなく、それどころか、
ひとりひとりが抱える問題はどれも身につまされ、
この先どうなってしまうのだろうと気になって、
読み進めずにはいられなくなる。それでいて、
一章一章が、それで完結してもおかしくないような
良質な短編のような完成度が素晴らしく、ひとつの
物語が終わるたびに、各登場人物に思いを馳せた。
読書会では、どの章が一番好きかといった話から、
出てくる人物への共感、嫌悪、不信、哀れみなど、
さまざまな側面から語らうことができ楽しかった。
今回は、久しぶりにお目にかかれた方も多く、
コロナ禍であるからこそ、こうした集まりには
できるだけ積極的に参加していきたいと思った。
また、読書会の中で、『ルックバック』という漫画が
話題に出たが、ちょうど数日前に見ていて漫画の中に
地元の馴染みある大学が出てきて驚いたばかりだったので、
カムチャッカに住む人々の閉塞感と、北国で育った自分の
閉塞感とがオーバーラップしたという話をしたあとで、
『ルックバック』が出てきたタイミングにびっくりした。
3月に読んだときから、誰かと語り合いたいと思っていたので、
参加することができて良かった。大変充実したひとときだった。